ここでは、精神障害者の為のストレス対処技能としての「リラクセーション」について、長谷川病院での実践をご紹介いたします。
尚、掲載に関しましては、長谷川病院の 香田真希子さん、 小川ひとみさん、 岩井邦寿さんに資料の提供など多大なるご協力を頂きました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
近年、精神障害者が自分のストレスに対処できるようになること(stress management:ストレスマネジメント)が、本人のエンパワメントや生活の質を維持向上する上で大事な能力として注目されている。
ストレス対処技能の方法にはいくつかあげられる。
1) ストレスや、ストレス対処法を知る(情報提供)
2) ストレスの原因となっている問題そのものに対処する方法を身に付ける(対処技法:問題解決技法.心理教育.SST.認知療法.
Time management.. Assertive training. etc)
3) 自分のストレス反応を軽減する(リラクセーションテクニック)
などである。
1.ストレスとは?
闘争-逃走反応 (キャノン)
命を懸けて戦うか逃げるかするような状況に直面したとき、私たちの遠い祖先は生き延びるためにストレス反応を起こしました。
ところが、私たち現代人は、同じストレスを起こしながらも、実際に体を使って戦ったり、逃げたりして、そのエネルギーを発散させず、そのエネルギーを心身に溜め込んでしまいます。
そのたびごとに、息を詰め、筋肉をこわばらせ、血圧を上昇させて、不安・怒りなどといった形で、心身に負担を負わせているのです。
2.ストレッサーとは?
「ストレス反応を起こす刺激」
生物的ストレッサー (薬・タバコ・花粉・ウイルス)
心理的ストレッサー (別れ・不安・緊張・恐怖)
社会的ストレッサー (自分を取り巻く環境の変化・入院・家族の変化)
3.ストレス脆弱性仮説
分裂病の発症・再発は、生物学的脆弱性と、心理社会的ストレスとの相互作用からおこるとされています。
ストレスの影響を弱めたり、それに対する対処法を身に付けることによって、経過の改善につながります。
4.なぜリラクセーションが必要か?
ストレスが身体に与える影響
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ストレス反応
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生理学的反応
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リラクセーション反応
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緊張
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筋肉
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弛緩
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増加
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心拍数
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減少
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上昇
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血圧
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正常値
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収縮
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血管
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拡張
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冷たく汗ばむ
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手足
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暖かくさらさら
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速波
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脳波
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アルファー波
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覚醒駆動型
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脳内ホルモン
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静穏快感型
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増加
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基礎代謝率
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減少
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消費
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エネルギー
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蓄積
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(東京ストレスマネジメント引用)
5.ストレス対処技能
ストレスをすっかり解決するのではなく、ストレスを抱えながらもなんとかやっていけるように
自分のストレスに対処する技能を身に付ける
6.ストレス対処技能におけるリラクセーションテクニックの位
置付け
他のアプローチ(薬物療法・作業療法・精神療法・環境調整 etc… )
+
ストレス対処技能 ★ストレスそのものや対処法についての情報を知る (情報提供)
★ストレスの原因となっている問題に対処する方法を身に付ける (対処技法)
★ストレス反応を軽減する (リラクセーションテクニック)
↓
「対処可能性が増す」 (エンパワメント)
7.本人がどう体験しているか?
主体的にストレスに対処できる可能性を増すためには、治療者側の押し付けではなく、本人の意志で自分にあった対処法を選択してもらう必要がある。よって、「本人がどう感じているか?」に焦点を当てることが重要である。
効果測定用紙を利用して、セッション前の自分の「心とからだの状態」に意識を向け、感じ、意識化してもらい、セッション後に再度自分の心とからだの変化について記載してもらうことを通
じて、リラクセーションのセッションをどう体験し、どの程度自分の回復に役立っているかを意識化してもらい、主体的にセッションを利用してもらうための一助にしている。
セッション開始前に比べ、セッション開始後は、こころと身体がリラックスしていると、参加者のほとんどのものが主観的に体験している。
1.基本的な構造
グループのサイズ
言語的集団精神療法と同様に、8〜12名程度が適切であろう。しかし、実施方法によっては1〜30名程度も可能である。途中からの参加や退出を認めるオープングループシステムの場合、あらかじめグループのサイズを決めておくことが難しい。その際、セラピストはグループのサイズに応じて、臨機応変に対応していく必要がある。たとえば、参加者数が多い場合、アシスタントの配置が必要になる。また参加者数が少ない場合、個々の参加者にかかる負荷を考慮して、セッション時間を短縮するなどである。
グループ形態
オープングループまたはクローズドグループシステムいずれでも実施可能である。誰でも気楽に参加でき、参加者の心理的負荷が少ないことがオープングループの利点であろう。
またクローズドグループは、メンバーシップが明確であり凝集性が高く、継続的なグループの発達過程が可能になるという点で有意義である。また集団で行なうことによって、ひとの集まりに所属した中でやすらぎ・くつろぎ・自分一人ではないという普遍的体験をし、グループに守られ受容されているという体験の場を提供する。
実施場所
十数名の人が、円形で簡単な運動ができる程度の場所(レクリエーションルームなど)。狭すぎるとリラックスしにくく、広すぎるとセラピストや参加者の声や音楽が聞き取りにくくなったり、グループの凝集性に影響を与えることがある。
また、安心・安全感を感じつつリラックスできるような環境を整える必要がある。外部からの音刺激の調整・ゆったりとしたBGM・部屋のライトを落とす等の工夫が助けになる。
時間と頻度
週1〜数回。プログラムは、60分ほどのセッションと、セッション前後のスタッフミーティング、会場準備、グループ及び個々の参加者に関する評価記録の作成を合わせて2時間程度。セッションの実施時間は、対象者の病態や回復過程によって異なる。集中力を持続することが難しい患者や、高齢者などの疲れやすい患者を対象に行う場合、時間を短縮することもある。
スタッフ構成
リーダー1名、必要に応じてアシスタント1〜数名。セラピストやアシスタントの性別
は、参加者にあわせ配置すると良い。たとえば、男女混合のグループでは男女のスタッフがチームを組んでセラピーを行ったり、男性のみのグループを女性のセラピストが担当する時は、男性スタッフにアシスタント役を引き受けてもらうなどである。
病棟単位のグループでは、当該病棟の看護スタッフ等にアシスタントとして参加してもらうと良い。患者はこのグループが治療スタッフに承認されていると感じ、安心して参加するようになる。
道具
その場で操作が可能な音響機器(CDラジカセなど)。
音源となるCDやMD:音楽は、音楽の「強い〜弱い」「速い〜遅い」は身体における「緊張〜弛緩」と密接に関係しており、優しい、ゆったりとした音楽をかけながら行うことでリラクゼーション効果
が期待できる。
フーセン:ウォーミングアップとしての風船バレーを行うことで、グループ参加への抵抗を緩和する。ストレッチへの心身の準備性を高める手段として利用できる。
じゅうたん:参加者がゆったりと横になれるスペースの確保。
見学者や運動機能が不十分な参加者がいる場合、椅子席を用意することもある。
効果測定用紙。記入用のボード、鉛筆。
<プレミーテイング> 個々の参加者の様子や、その帰属集団(病棟やデイケア全体)での出来事を把握する。
| <ウォーミングアップ> | |
| 円状に座り、グループ参加への抵抗を緩和し、ストレッチへの心身の準備性を高めるために風船バレーなどのウオーミングアップを行う | |
| ↓ | |
| <オリエンテーション> | |
| スタッフ、グループの目的、方法を紹介、説明する。 | |
| ↓ | ★心とからだのリラクゼーションが目的であること ★自分のペースで行ない、疲れたら休んでも・抜けても・戻ってきても・見学のみの参加形態でよいことを伝える。 |
| (照明をおとす) | |
| <リラクセーションストレッチ> | |
| ↓ | ★ゆったりと深い呼吸を続けながら行うこと。 ★無理なく行うこと。(ゆっくりと伸ばし、痛みを伴うほどに伸ばさない。) ★伸ばしている部分に意識を向け、心地良い感覚を感じる。 |
| <つぼ押し、身体確認> (仰向け) | |
| 自分の身体に触れることで、ありのままの自己(感覚、身体、感情)を認識し、自分自身をケアする体験を促す | |
| ↓ | ★呼吸、体温を感じ、自分自身が生ある存在であることを感じる。
★自分自身の疲れ、痛みなどに気付く。 ★自分自身の体をいたわる。 |
| <イメージ導入> | |
| 安心してリラックスできる場所をイメージして、そこで休む。 イメージすることにより、より心身のリラックスをはかる。 | |
| ↓ | ★五感を使用し、イメージをより具体的なものにする。 ★ 五感に集中することで不安を軽減する。 ★ 現実に戻ってくること、戻れることを保障する。 ★ 安心してリラックスできる場所であることを伝える。 ★ 現実の環境とかけ離れすぎない。(天候など) ★ 病的体験を誘発しないようにする。 |
| <マッサージ> | |
| スタッフが一人一人を介助し座った姿勢に起こす。起きあがったら、肩のマッサージを行う | |
| ↓ | ★ イメージの世界から現実世界への移行をスムーズに行う助けとなる。 ★ スタッフに介助され起き上がり、マッサージを受けることは、直接的、現実的に他者にケア、holdingされる体験となる。 ★ マッサージにより、首・肩の筋緊張を緩和する。 ★ 患者の緊張状態を個別に把握する。 |
| <終結のためのリラクセーションストレッチ> | |
| 現実生活にスムーズに戻れるよう、終結をしっかりと行う。 | |
| ★ 開始前と比べて、こころと身体のリラックス度合いや変化を意識化する。 ★ 急な動作による、立ちくらみ・転倒などに留意する。 |
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<アフターミーテイング> セッションのプロセスとその中で生じた患者の心身の変化について、アンケート結果 や印象・解釈等を共有し、必要な情報は治療チームに連絡する。
1.急性期のリラクセーション
入院直後の急性期においては、疾病や病的体験からくる生物的‐心理的刺激や、入院による環境の変化や家族との別
れなどの社会的刺激などの過剰なストレッサーにあい、ストレスレベルがかなり高い状態にある。
こうした入院して間もない急性期患者を対象にリラクセーションを行うことは、ストレス反応を軽減し、こころと身体のリラックスを図ることは、ストレス脆弱性モデルから考えても経過の改善に寄与する上で、適切な薬物療法とともに重要な意味を持つ。
また、リラクセーションテクニックは一工程ごとのリーダーの指示によりリーダーを模倣する単純な受動的身体活動であり、エネルギーの消費が比較的少なく、メンバー間の対人交流が必要ない為、急性期からの導入プログラムとしても適している。この参加者にとって無理のない非言語的な身体活動を通
じて、自分のこころと身体を確認し、現実感を体験できるように導く。
自ら心地良い感覚を得られるよう、身体をコントロールすることは、探索行動であり、その結果
心地良い感覚を得ることにより主体的な回復体験につながる。この「自分の回復に役に立つ」という体験が、その後の治療にも影響する。
<構 造>
1. グループの形態とサイズ
参加者に負荷が少ないよう、セッションの途中でも参加や退出が可能なオープングループが適当であろう。したがって、参加者数もセッション中に増減があり、グループのサイズもあらかじめ決めておくことは難しい。
2. 実施場所
グループの周囲にいくつか椅子を置いておき、見学や座ったままでの参加、途中休憩も可能にする。
3. 時間と頻度
週1〜2回、セッションそのものは45〜60分程。患者によっては45分間活動に集中するのが難しい場合もあるので、疲れたら途中で見学者席に着いて休んだり、途中から参加したりと、参加者の状態やニーズに応じてグループを利用できるよう配慮し、毎回、「心とからだのリラクゼーションが目的であること、自分のペースで行ない、疲れたら休んでも、抜けても、戻ってきても、見学のみでも良い等のグループの枠組みを」伝える。
4. スタッフ構成
グループの安全の保障と、支持的な雰囲気作りが不可欠である。そのためリーダーのほかに1〜2名のアシスタントが加わり、他の参加者に比べ混乱していたり、協調的に動くことが難しい参加者に対して個別
の援助を行うことが必要である。但し、患者数に比べスタッフの数が多すぎて参加者を圧倒することのないようにしなければならない。
5. 道具
「基本的な構造」で述べたものに順ずる。
実施上の留意点とコツ
・オリエンテーションの重視
(セッション時のみではなく、病棟ミーテイングや放送やポスターを利用し、セッション開始前にも毎回オリエンテーションを行う)
・グループの目的、ルール、流れなどの枠組みを明確にし、安心・安全感の保障に留意する。
・ 参加を強要しないが、いつでも受け入れる体制があることを伝える。
・ スペース、居場所の確保。 円座での実施が適している。
・ 陽性症状が強く非現実的な知覚に左右されがちなものも多いため、セッション中にそうした体験を誘発するような介入は避けなければならない。じっと目と目を見詰めたり、目を閉じ続けるような場面
は避けるべきで、原則としてイメージ法(瞑想)は、使用しない。
・ シンプルな言語介入とシンプルな動きを使用するよう留意する、リラクゼーショングッズや資料は基本的には使用しない。受動的な参加形態でよい。
・ 動きやストレッチの正確さを求めすぎない。感覚は本人の主観、体験、感覚であるので、本人が気持ちが良いと思うようなやり方を尊重優先し、保障する。身体感覚の個別
性を許容する声賭けが必要。
・ 頑張りすぎ、無理しすぎ、力の入れすぎ、無呼吸にならないよう留意して、声かけをまめに行う。
(ED、従順、社会的役割があった人、身体技能が高かった人、プライドが高い人が、頑張りすぎる傾向あり)
・ 侵入的にならないよう配慮しながら、受容的かつ支持的に接するよう努める。
・ 集中力の低下、不安感が強い場合、起こっていることや刺激に関して、セラピストがそれを言語化してあげることも必要。
・ セクシャルな雰囲気にならないよう留意する。
回復期は社会復帰を目的とし、自律的な活動に取り組む時期である。活動性が高まり、社会的な関わりが増える。しかし、自律に伴い、現実的な自己認識を求められ、病気という現実を見つめ、葛藤し挫折感を味わう時期でもある。この退院への焦りや不安、疾病に伴う喪失感等の言葉にすると辛くなるような心理‐社会的ストレッサーによるストレス反応を、リラクセーションテクニックで軽減する。
また、受動的なリラクセーション体験から、より自律的なリラクゼーションテクニックの使用を可能にするため、病室や外泊中、退院後も自分のストレス反応に対してさまざまなリラクセーションテクニックが利用出来るよう、資料やリラクセーショングッズを用いてストレスそのものや対処法に関する情報提供を行い、そのストレスの原因になっている問題に対しての具体的な対処技能を身に付けるために、問題解決技法や心理教育、SSTなどの対処技法を使ってワークすることもある。
これらによって、参加者が、主体的にストレスに対処できる可能性を増すことが出来るように、アプローチしていく。
<構 造>
1. グループの形態とサイズ
8〜12人程度の参加者によるクローズドグループあるいはオープングループ。
2. 実施場所
参加者が安心して深い感情を吐露し、セッションに集中できるような場所が望ましい。
3. 時間と頻度
少なくとも週1回、セッション自体は45〜90分程度。
4. スタッフ構成
リーダー1名。必要に応じアシスタントが加わると良いが、スタッフ数が多すぎて、保護的になりすぎないよう注意が必要である。
<道具>
「急性期のリラクセーション」の項で挙げたものに加え、
アロマオイル・ハーブテイー・などのリラクセーショングッズ。薬物との兼ね合いや、アレルギー、使用量
などに留意する。 情報提供、心理教育、問題解決技法などで使用する資料。
<実施上の留意点とコツ>
この時期の患者を対象にしたリラクセーションでは、先に延べた通り参加者の自発的な表現に基づき、自律的にグループが展開されることが望ましい。
・スタッフは強いリーダーシップを発揮するよりはむしろ黒子役となって、参加者の自発的表現を促し、自律的なグループの発展を支持する。
・ 受動的なリラクセーション体験だけではなく、ストレスを自ら主体的に対処する可能性を増すことが出来るよう、情報提供や対処技法を用いたワークを行う。
・ 情報提供や対処技法を用いたワークを行った際は、必要なときに参加者が後で見直せるように、資料にして配っておく。
・ 日常生活の中で、活動と休息の適度なバランスが大切であることを強調する。
・ リラクセーションテクニックでは「休む場である」という目的を明確に伝え、マイナスに捉えられがちな「休むこと」を保障される体験をする。
・ リラクセーションテクニックを使うと「休める」という体験をセッションで実感してもらうことを通
して、生活の中でも使えるようモチベーションを強化する。
精神障害者の中には、陽性症状のコントロールに悩まされたり、陰性症状に沈み活動性が低く無為自閉的生活になりがちなため、生活の安定性の維持を目的に長期にわたって医療施設を利用するものもある。また、環境因子の影響で、本来なら入院している必要のない方が「社会的入院患者」として、長期にわたって医療施設を利用せざるを得ないという社会的ストレッサーの影響を受けているものも多い。
そうした患者にとってあまりにも長期の入院生活,社会とはかけ離れた時空間の中で,回復・復帰への現実的な希望と目標は見失れがちであり、患者は孤独の中で自己身体をいたわる感覚すら低下している場合もある。
回復期で述べたリラクセーションテクニック、情報提供、対処技法と併用して、身長・体重・体脂肪・血圧などの健康チェックを行い、自己の身体に関心を向け、運動プログラムや食生活改善プログラムも実施することが多い。
<構造>
1. グループの形態とサイズ
参加者に負荷が少ないよう、セッションの途中でも参加や退出が可能なオープングループが適当であろう。ただし、参加の継続性が保障され、レギュラーメンバーが尊重されるような雰囲気作りがのぞましい。
2. 実施場所
慢性患者の中には、疲れやすいものや高齢のものが少なくないので、グループの周囲にいくつか椅子を置いておき、座ったままでの参加や途中休憩も可能にすると良い。
3. 時間と頻度
週1〜2回、グループそのものは約45〜60分程。疲れたら途中で見学者席に着いて休んだり、途中から参加したりと、参加者自身が自分で活動量
をコントロールし無理なく楽しむことを支持する。
4. スタッフ構成
グループが参加者にとって馴染みの場所となるためには、リーダーのほかにアシスタントも毎回同じスタッフが参加すると良い。1〜2名のアシスタントが加わり、他の参加者に比べ混乱していたり、協調的に動くことが難しい参加者に対して個別
の援助を行うことが必要である。
5. 道具
「回復期リラクセーションテクニック」の項で挙げたものに加え、 健康チェックリスト。
<実施上の留意点とコツ>
・ 健康チェックリスト(身長・体重・体脂肪・血圧など)を利用し、日々の生活の目標や自己身体への関心すら失いがちな長期入院慢性患者に対して,自己身体に関心を向けてもらう。
・ 自らの心身への働きかけによって、「変化しうる自分を知る」体験を意識化してもらう。
・ 情報提供は、季節感のあるものや、健康維持・管理の方法なども利用する。(ゆず、菖蒲湯、風邪対策、花粉症対策など)
・ 長期の疾病,長期服薬,加齢などによる身体機能,自己認知,感覚の低下を考慮し、身体的負荷をかけすぎない