AMPS日本研究会からのお知らせ

AMPSとは:

AMPSとは、作業療法対象者の作業遂行の質と作業遂行能力を同時に評価する、国際的に標準化された観察型のADL/IADL評価法です。作業遂行の質は対象者の運動技能とプロセス技能で評価をします。AMPSは、対象者中心の作業療法を実践する作業療法士(専門分野を問わない)の治療介入計画や効果判定に適した評価法といえます。この評価技術を身につけるには、5日間の講習会に参加が必要です。

以下の内容

・AMPSの特徴(長所と短所など):AMPSマニュアル第4版(Fisher, 2001)より
・よくあるAMPSに関する質問(Q&A)


AMPSの特徴:

<AMPSの長所>
1)AMPSは作業療法特有の評価法である。
2)AMPSは46886人のデータをもとに、国際的にも、異文化間でも十分に標準化された評価法である。
3)作業遂行について何らかの配慮が必要な、3歳以上の子供、青少年、大人、高齢者と、年齢に関わらず誰でもがAMPS施行対象者となりえる。
4)診断名(疾患)や能力障害の原因に関わらず、誰にでもAMPSは使用可能。
5)AMPSは、対象者自身が遂行したい・する必要のあるADL/IADL課題をするための能力を評価するという、作業遂行のテストである。
6)AMPSでは
(a)対象者の日常生活でのニードに関わりがあり且つ馴染みのある課題で、
(b)対象者が遂行する課題の難易度に基づき評価を行うため、対象者本人が評価のために遂行する課題を選択できるようにデザインされている。人は選択権を与えられ、自分の意志に合った課題を遂行することにより、その課題遂行能力を最大限に引き出せる。
7)評価には特別な道具や器具を必要とせず、おおよそ30‐40分で施行可能 。
8)AMPSは86課題あるリストから、対象者が馴染のある課題を2課題遂行するだけで、その対象者の能力と遂行の質を評価可能。
9)AMPSを開発した測定モデルは、
(a)対象者が遂行した課題の難易度と、
(b)遂行を観察した評価者の評価者寛厳度を考慮に入れながら、対象者の運動技能とプロセス技能能力を決定することができる。
10)AMPSはユニークなデザインなので、1回目と2回目の評価で異なる課題を対象者が遂行しても,対象者の能力の変化を比較できる.また同様に、異なったAMPS課題を遂行した幾人かの対象者同士を比較することも可能。
11)AMPSは作業療法臨床家に効率の良い治療計画や対象者の変化を文書化するのにパワフルでセンシティヴな道具である。従って、また、AMPSは研究にも理想的な道具といえる。
<AMPSの短所>
1)3歳未満(あるいは同等の発達レベル)のクライエントあるいは、単純な日常生活課題をも遂行したくないクライエントは評価できない。
2)AMPSを治療効果、質の保証、あるいは研究を文書化するのに使用する場合は、コンピュータ採点がなされなければならない。対象者の遂行を採点する評価者の寛厳度や遂行した課題の難易度を考慮し、対象者のADL/IADL運動とプロセス技能能力測定値を計算するのに、コンピュータ採点は必要なのである。治療効果や研究を文書化するのに、技能項目ごとの得点を使用することはAMPSでは意味のないことである。
3)AMPSのコンピュータ採点ソフトは、講習会参加者のみに提供される。
4)対象者の能力測定時に、評価者の寛厳度を考慮に入れることから、講習会参加者であっても、評価者換算の必要条件を満たすまで、対象者のADL/IADL運動およびプロセス技能能力測定値が表されるAMPSグラフィック報告書は得ることができない。
<評価者トレーニングと評価者換算の必要条件>
AMPSを開発する過程で、妥当性があり信頼性のある施行と解釈のために、AMPSに興味の有る作業療法士は(a)講習会に参加し、(b)評価者として換算されることが条件となった。5日間の講習会では、AMPSの理論的基盤に関係した重要な情報と、実際に体験しながらAMPS施行と採点方法を学ぶ。評価者換算には、評価者候補者は講習会中にビデオテープでAMPS観察による採点を行い、講習会後10名の生観察によるデータを提出すること、が必要である。AMPSトレーニングの不可欠な構成要素は、講習会中に採点方法の実用的な経験を積むことと、評価者換算手続きを完了させることことである。評価者換算は、その評価者が本当に信頼のある採点をしているかどうかを決定するのに必要なことである。また、評価者換算ではAMPSコンピュータ採点ソフトに使用する、対象者のADL/IADL運動とプロセス技能能力測定値を調整するのに必要なそれぞれの評価者の寛厳度を算出している。
よくある質問(Q&A)

Q: AMPSは他のADL/IADL評価法と何が違うの?
A: AMPSは他の評価法と比べて様々な長所を持っていますが、特に他の評価法と違う点としてあげられるのは、AMPSは対象者のADL/IADL課題遂行の“質”を評価する唯一の標準化された評価法ということです。作業療法士は歴史的に、技能評価と作業分析による作業の質の評価を得意としていますが、AMPSではその技能による作業分析的評価が標準化された形で可能なのです。作業遂行中の目的指向的行為(つまり運動技能とプロセス技能項目)ごとの努力の増大、効率性の低下、安全性の低下、あるいは自立の低下という側面 を採点時に考慮に入れています。AMPSは標準化されているので、客観的な結果として文書化したり、作業療法の介入効果 として用いることができます。その他はAMPSの長所と短所をお読みください。

Q: AMPSは対象者が課題を選択できるとのことだが、具体的にどのような課題があるのか?日本人に馴染みのある課題はあるのか?
A: AMPSには86課題あります。具体的には、洗濯物をたたむ、掃除機をかける、インスタントラーメンをつくる、チャーハンをつくる、コーヒーまたはお茶をいれる、植物の水やりをする、草抜きをするなどがあります。AMPSは他の評価法と違って、評価法の信頼性を保ちながら、今後も課題を増やしていくことが可能な評価法でもあります。香港や日本で講習会をスタートすることをきっかけに、チャーハンをつくる、インスタントラーメンをつくるという課題などが導入されました。今後、日本でAMPSが盛んに使用し、「こんな課題があると使いやすい」という声を大にすれば、より日本人に馴染みのある課題が増える可能性が高くなります。日本の作業療法士がAMPSが良い評価法として今後使用していくかどうかが、日本人に馴染みのある課題が増えるかどうかにかかっているのです。ある意味でAMPSは使用者が皆で育てていくタイプの評価法なのです。

Q: AMPSの精神科領域でも使用されているとのことですが、どのように使用しているのでしょうか?
A: 対象者の現時点でのIADL(APDL)能力評価の他、職業前評価として、また、一人暮しが可能かどうかの判定基準の一つとして、介入アプローチの方向性を決定づけるのに使われています。

Q: AMPSは人間作業モデルをその基盤として開発されたと聞きました。AMPSを受講する前に人間作業モデルの勉強が必要なのでしょうか?
A: 人間作業モデルの勉強をしないと、AMPSを受講できない、使用できないといったことは全くありません。AMPSが作業療法の理論である人間作業モデルをその基盤として開発された経緯があるということは、人間作業モデルを勉強しないとAMPSを理解できないということではなく、AMPSは、作業療法士がその実践の中で、これまで重要視してきた、「対象者の作業遂行に対する意志」、「対象者の習慣」「作業を遂行するのに必要な技能」「環境との相互作用」あるいは「作業経験」という作業療法の視点を取り入れて開発されているということを示しているということなのです。AMPSには作業療法的視点が評価法に含まれているので、例えば、対象者中心の作業療法の実践や、他の作業療法の理論やモデルの中でAMPSを使用することは何かひずみや抵抗を生むことはありません。

Q: AMPSの講習会はいつどこで行われるのですか?
A: 現在のところ、年に2回程度開催がされていますが、定期的には開催されていません。開催案内は作業療法ジャーナルや作業療法協会ニュースに掲載しています。また、早めに開催時期を知りたいという希望の方には、講習会開催が決定した時点でe-mailでご連絡させていただいています。  


講習会およびAMPSに関する疑問やご質問は大歓迎です。
下記までご連絡ください。
日本AMPS研究会 代表 齋藤さわ子
http://ampsjpn.hoops.ne.jp
e-mail: AMPSJPN:hotmail.com
Fax: 011(373)5852
AMPSの最新情報満載のAMPS本部のアメリカAMPSプロジェクトのホームページも下記のアドレスでご覧になれます。興味のある方や英語が得意な方は是非ご覧ください。
AMPS website: www.colostate.edu/Programs/AMPS